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とりあえず日本の遅れているAI技術が中国に追いつく方法

IMD世界競争力ランキングでは、2024年版において日本は38位と、過去最低水準となっています。このランキングは、経済状況、政府の効率性、企業の効率性、インフラなど、多岐にわたる要素を総合的に評価しています。

それで中国がなんだかんだ言われているけど優れいている点と日本がどうすれば追いつけるのか?という点をまとめてみた。

中国のAI技術が注目され、評価されている理由はいくつかあります。以下にその要点を挙げます:

1. 膨大なデータ量

中国には14億人以上の人口がおり、ユーザー数も膨大です。これにより、AIモデルをトレーニングするためのデータ量が他国と比べて圧倒的に多いです。例えば、EコマースやSNS、モバイル決済、監視カメラシステム(例えば「天網」プロジェクト)から得られるデータが、AI開発の基盤となっています。

日本ができる事と障壁 

必要なこと

  • 国内のデータ利活用を促進する政策の推進。
  • データ共有を可能にするための業界間連携の強化。
  • データ収集・分析の基盤整備(例えばIoTやスマートシティ技術の導入)。

障壁

  • 個人情報保護法が厳しく、データ収集や共有が難しい。
  • 国民のプライバシー意識が高く、監視技術やデータ収集への反発が強い。
  • データを活用する企業間での連携不足。

2. 政府の強力な支援

中国政府はAIを国家戦略として位置付け、政策的な支援を行っています。「新一代人工知能発展計画」(2017年)では、2030年までに世界のAI分野をリードする目標を掲げています。また、資金提供や規制の緩和がスタートアップ企業や研究機関の成長を後押ししています。

日本ができる事と障壁

必要なこと

  • 長期的な国家戦略としてAI分野への投資を増やす。
  • ベンチャー企業やスタートアップへの助成金を拡充。
  • AI研究開発を促進するための法整備と政策支援。

障壁

  • 政策決定が遅い。
  • 予算配分が慎重すぎてリスクを取った投資が少ない。
  • 官僚的なプロセスがイノベーションを阻害。

3. 大規模な人材育成

中国の大学や研究機関では、AI分野の研究が盛んに行われています。さらに、海外で学んだ中国人研究者が帰国して中国のAI開発に貢献している例も増えています。世界的なAI論文の発表数でも中国はトップクラスです。

日本ができる事と障壁

必要なこと

  • AI関連学部や研究機関の拡充。
  • 海外で活躍する日本人研究者の帰国を促進するためのインセンティブ。
  • 小中高教育でのAIリテラシー教育の導入。

障壁

  • 理工系の学生が減少している。
  • 海外の人材に対する待遇が不十分で、国内人材の海外流出も続いている。
  • 学術研究への予算が少なく、産学連携も弱い。

4. テクノロジー企業の成長

中国には百度(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)、バイトダンス(ByteDance)など、AI分野で世界的に活躍する企業があります。これらの企業は、自社サービスにAIを積極的に取り入れるだけでなく、他分野にも応用しています。

日本ができることと障壁

必要なこと

  • 国内スタートアップへの投資を活性化。
  • ベンチャー企業が成長しやすい規制環境の整備。
  • 企業と大学の連携を促進するイノベーションエコシステムの構築。

障壁

  • ベンチャー投資やリスクを取る文化が乏しい。
  • 起業家精神を育む教育が不足している。
  • 国内市場が比較的小規模で、グローバル展開に不安がある企業が多い。

5. 応用分野の多様性

AIの応用分野が幅広いことも中国の強みです。例えば:

  • 顔認識技術: 監視システムやモバイル決済で活用。
  • 自律走行車: 自動車メーカーやテック企業が開発中。
  • 医療AI: 診断支援や新薬開発に利用。
  • 自然言語処理: 中国語特有の難しさを克服した高度な技術。

日本ができることと障壁

必要なこと

  • AIを活用する新興産業を育てる政策の立案。
  • 各業界におけるAI導入の実証実験や支援の増加。
  • 既存の強み(例:ロボット、医療、製造業)をAIと融合。

障壁

  • 既存産業が保守的で、新技術の導入に消極的。
  • 規制や業界団体の影響で、変革が進みにくい。
  • 新興分野での競争力が他国に比べて弱い。

6. 競争の激しさ

国内市場における企業間競争が非常に激しく、企業は他を凌駕するためにAI技術を進化させています。この競争はイノベーションを促進し、結果的に国際競争力を高める要因となっています。

日本ができることと障壁

必要なこと

  • 国内市場での競争を活性化させるための規制緩和。
  • 海外企業と対等に競争できる環境整備。
  • 国内企業がグローバル競争に挑戦する支援策の強化。

障壁

  • 日本企業間の競争が緩く、独占的な市場構造が残っている。
  • 海外進出が遅れ、国際競争力が低下している。
  • リスク回避文化が強く、挑戦を避ける傾向。

7. 規制が緩い側面

プライバシーやデータ使用に関する規制が欧米に比べて緩やかであるため、AIの実験や開発が迅速に行える環境が整っています。これにより、実社会でのAI導入がスピーディーに進んでいます。

日本ができることと障壁

必要なこと

  • AIの社会実装を促進するための柔軟な規制を策定。
  • サンドボックス制度の拡充(実験的な技術開発を許容)。
  • プライバシーと利便性のバランスを取る社会的対話の促進。

障壁

  • 厳しい規制がイノベーションのスピードを妨げている。
  • 規制緩和に対する国民の不安感や政治的な抵抗。
  • 利害関係者間での合意形成が難しい。


こうした要因が複合的に作用し、中国のAI技術は世界でも注目される水準に達しています。もちろん、プライバシーや倫理問題も議論されていますが、技術の進化という点では非常に大きな影響力を持つ国であることは間違い無いかもしれない。

日本が中国のやり方を取り入れるには、規制の見直しや文化的・制度的な改革が必要ですが、それらには大きな障壁があります。一方で、日本は品質や信頼性、国民の技術リテラシーの高さといった独自の強みを活かしながら、慎重かつ着実に進める戦略が適しています。


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