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「VIVANT」が海外で評価されなかった3つの理由


日本のドラマ「VIVANT」が海外で評価を得られなかった理由について、海外経験の長い日本人の視点から考察してみました。主に文化的な要因が大きく影響していると考えられ、以下の3点が挙げられます。

1. 主人公の変化が激しすぎる

参照元 unext本家サイト  

一般的に、映画やドラマの主人公は一貫性を持ち、特殊な能力を持ちながらも人間味のある魅力的な人物であることが求められます。しかし、「VIVANT」の主人公・乃木祐介は、物語の前半と後半で極端な変化を遂げます。

当初はダメなサラリーマンとして描かれ、モンゴルの砂漠で命の危機に陥るほど無力な存在でした。しかし、物語が進むにつれて突如として優秀なエージェントへと変貌を遂げます。この急激な変化は、海外の視聴者にとっては理解し難いものだったでしょう。

主人公の成長を描くことは良いのですが、「VIVANT」における乃木の変化は成長というよりも別人格への変貌に近く、人間味を失って完璧なエージェントになってしまいます。これでは視聴者が感情移入しづらくなってしまいます。

2. 恋愛要素が分かりにくい

主人公の乃木祐介とモンゴルで看護師として働く柚木薫との恋愛模様も、海外の視聴者には理解しづらかったと思われます。二人の関係性が曖昧なまま物語が進行し、ラストシーンでも抱き合うだけで、その後の関係性も不明確です。

さらに、最終場面で登場する「まんじゅう」の意味合いも、日本人以外には理解が難しいでしょう。何らかの指令を示すものだとしても、その表現方法が文化的な背景知識を必要とするため、海外の視聴者には伝わりにくかったと考えられます。もしかしたら外国人にはあの赤いものは恋愛が成就した証なのかなと感じたかもしれません。

3. 海外では理解しづらいラストシーン

ラストシーンで主人公が無能な上司ではなく父親を殺してしまう展開は、海外の視聴者には受け入れがたいものだったでしょう。多くの国では、能力や人格に優れた人物が上司になるという考えが一般的です。そのため、無能で性格の悪い上司を守るために父親を殺すという選択は、海外の視聴者には理解しがたいものだったと思われます。


「VIVANT」は日本のドラマを世界に広めようとした意欲作でしたが、これらの理由により海外での評価を得ることができませんでした。

今後、真に国際的な評価を得られる作品を制作するためには、優秀な脚本家の起用はもちろんのこと、海外事情に精通した日本人による脚本の監修も必要になってくるかもしれません。


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