日本はかつて、技術と革新の先駆者として世界に名を馳せた国でした。
しかし、近年、特にIT技術の発展とデジタル変革の波において、いくつかの分野での後退を痛感しています。その中で、日本企業が国際競争力を維持するための一つの方法が、海外との提携です。その好例として、ニコン・トリンブルの成功が挙げられます。
ニコンとトリンブルの提携は、各企業の強みを活かした絶妙なパートナーシップとして成立しています。トリンブルは、GPS技術やソフトウェア開発のエキスパートで、アメリカのシリコンバレーの先進技術を背景に持っています。
一方、ニコンは、レンズや精密機械の分野での長い経験と高い技術力を持ち、日本の製造業の強みを活かしています。しかし20年前は正直Nikonの測量機器トランシットを使う人は殆どいませんでした。
この提携によって、両社はそれぞれの強みを最大限に活かし、高品質な測量トランシットを日本市場に供給しています。結果として、測量トランシットの日本国内販売シェアでは、この10年で大きな成長を遂げました。
この事例は、日本のIT後進性を乗り越え、グローバル市場で競争力を持つための方法を示唆しています。それは、単に外部の技術を取り入れるだけでなく、日本独自の強みや技術を活かしながら、海外企業との協力や提携を積極的に進めることです。
日本がIT後進国から脱却し、再び技術革新の先駆者としての地位を築くためには、国内外のリソースや知識を組み合わせる柔軟性が求められます。そして、その一つの答えが、海外との有益な提携にあるのです。
近年のビジネスの動向を見ると、一貫性のあるサービス提供が成功の鍵となることが多くあります。
さらに注目すべきは、測量CADの製造を手がけることで、彼らがアップルのPC事業と似たような「垂直統合」の戦略を採用していることです。
これにより、測量現場から計算処理、図面作成までの全工程を一貫して一つの会社で提供することが可能となりました。この一貫性が、顧客にとっての利便性や効率性の向上をもたらし、ビジネスの成功に寄与しています。
垂直統合のメリットは明らかです:
効率性: 各工程の間のコミュニケーションの摩擦を最小限に抑え、生産性を向上させることができます。
ある測量コンサルタントでは、以前測量現場で測量したデータがCADにうまく取り込めないことがありました。CADメーカーに問い合わせると、トランシットが悪いといいます。トランシットのメーカーにきてもらうとCADに問題があると言います。それぞれ自社以外のところをサポートするつもりは無いのです。
そのような事例が多々あり、測量CADまで提供しているニコン・トリンブルに乗り換えたそうです。CADもトランシットも全てニコン・トリンブルの製品です。ちなみにトランシットだけで380万円くらいします。
品質管理: 全工程を自社内で行うことで、製品の品質を一元的に管理し、顧客への信頼を高めることができます。
顧客体験: 顧客は、一つのブランドや企業から全てのサービスを受け取ることで、よりシームレスで一貫性のある体験を得ることができます。
このような一連のサービス提供のアプローチは、現代のビジネスにおいて非常に価値があるものとなっています。ニコン・トリンブルの成功は、その最も良い例の一つであり、他の企業もこのような戦略を模倣する価値があることを示しています。
結論として、垂直統合と一貫したサービス提供は、今後のビジネスの成功において不可欠な要素となるでしょう。そして、ニコン・トリンブルの事例は、その方向性を示す指標として、多くの企業にとっての参考となると思います。