まず日本には、終身雇用制という制度があります。
そして、労働基準法(1947年制定)という雇用や労働に関する法律があります。
能力の低い人を間違って雇用しても、たとえその人が、働かなくても、給料は払いつづけないといけない不思議な仕組みがあります
なぜこのような不本意なことが、採用されているのでしょうか?
これは40、50年前、日本が高度経済成長期のときには大変有効な法律だったものを変更すること無く、採用しているからです。
1970年代、日本は、高度経済成長をしました。高度経済成長は、主に土木事業によってその経済が成長しました。
田中角栄という政治家が、日本大改造計画という政策をし、新幹線や高速道路を、日本中あちこちにつくり、地方の景気も向上させました。
この土木事業というのは、能力の高い人から、低い人まで、すべての人に仕事があります。
頭のいい人は、設計をします。事業の計画、や構造計算をしてより高い構造物の設計をします。
当時は今のような、構造計算のアプリケーションがありませんから、それらはほとんど手作業で行っていました。
日本人の勤勉な、そして東大や京大を卒業したような、能力の高い人が構造計算をして、日本の土木技術を支えていました。
能力の低い人や、学力はないけど、体力がある人は、現場で型枠を組んだりコンクリート流したり、穴を掘ったりする仕事がありました。
このように土木事業においては、頭のいい人は設計、そうでない人、また適正がないことがわかった時点で、社内の配置換えをすることが可能でした。
ですから、1947年に成立した、日本の労働基準法では、能力が低いという理由で、解雇できないようになっています。
一度、人を雇用したら、企業側の責任で、その人にデキる能力の仕事を与えなさいという理念によります。
この高度経済成長時代に、日本は高い経済成長をしました。
そして一方で、すべての人に能力が高くても、低くても、仕事が安定して与えられた(解雇できない)ために治安は大変良いものとなりました。
しかし時代は大きく変わりました
昔はITの技術は、企業のバックエンドでした。コンピュータが生産管理や、鉄鋼業の製造の際の温度管理などに利用されていました。コンピュータやプログラミングが裏方で見えないところを支えていたわけです。
しかし時代はかわりITの技術がフロントに回り、ITの技術力がそのまま企業の業績を左右する時代となりました。
1990年代、世界企業ランキングのトップ10のうちの半分を占めていた日本企業がほとんど姿を見せなくなってしまったのは、それが大きな理由です。
本を読むのが嫌いな人にできるプログラミングの仕事と言うものは存在しません。常に勉強しないといけない職業だからです。
でも本を読むのが苦手な人がいます。学生時代に勉強するのが苦手だった人です。
プログラミングは教えることはできない。適正を見てあげるだけだ。
これが僕が、自分なりに感じていることです。
適正を見分ける方法として
話がそれました。ITにおいては不向きな人が努力しても無駄だということです。それが、法律をつくる政府の高級役人には理解できないのです。理由はプログラミングの経験がないからです。
法律を作る、日本の官僚は、アメリカやヨーロッパのように民間から採用される事はありません
すべて上級国家公務員試験と言う、超難関な試験にパスした人だけが、この役職につき法律を作って、国の政策を作っていきます。
しかも、官僚も年功序列制ですので、50歳位にならないと、法律を作る権限を持つ事はありません。
ですから20歳位で官僚となり、約30年経って、やっとその人の考える理想の、法律を作ることができるわけです
つまり日本は欧米からITの分野で30年間、法的整備が遅れていると言うことになります
これは致命的です。
最近ではデジタル庁と言うものが創設されすべての省庁の、システム発注がこのデジタル庁を通すことになりました。国土交通省や、厚生省独自でシステムの発注ができなくなりました。役人がITの素人だから、かなり無駄なシステムが作られました。住民基本台帳のシステムはその最たるものでした。
官僚が話している人は、実際にはコードを書いていない人ばかりです。
5次下請けくらいになると実際にコードを書いている人に出会います。ですから伝言ゲームを5回程度繰り返してものが作られています。
それでできてから、こんなのどうやって使うの?と問題が吹き出ます。
今のマイナンバーカードも最たる例で、住所を各箇所が表にあり履歴が見れます。まるで住民票のようなもので、国民1人1人にIDを振る意味があまりないものです。
またマイナンバーカードを見せる際にはここを見えないように写真を取ってください、というだったらはじめから記載しなければ良いものもあり非常に使いにくいものです。
そのようなものができるのも、多重下請け構造で実際にコードを書いている人に官僚は会うことがないという点が上げられると思います。
このデジタル庁に任命された人が、今後日本政府のすべてのシステムは、アマゾンのサービスを使うとを明言しました.
日本のIT技術が遅れているのと、AWSのスピードで機能を開発できないという理由と、すでに完成されているAWSを使えば、失敗や情報流出のートラブルが少ないと言うメリットが考えられます
アマゾンに発注をすると言う事は、発注した後も、ソフトウェアのメンテナンスにお金がかかります。
そのお金が全部アメリカに流れていくわけです
多少、技術が遅れていてトラブルやデータの流出が、仮にたまにあるとしても、日本企業に発注をしていれば、日本国内の人材が育ち、日本にお金が落ちます。人材も育ちます。
そして日本経済と人材も育ちます。
しかし日本では、失敗すると極度に責められますから、政府の官僚は、己をすててまで日本のためにとういう視野で物事を考えることをしません。
自分の立身出世のためなら、失敗しないのが大成功なのです。
自分たちの身の保全のために、より安全で失敗する可能性の少ないAWSを採用しました
これもIT助成金とか言ってたくさんの補助金を儲けて国力のIT技術をなんとか発展させようと言う日本政府とは真逆の方向です
そこにも税金が投入されているのは、本当に日本自身が、どの方向に向かっていきたいのか?だれにどの権限が与えられているのか?方向性を決める人、権限のある人がいない証拠ではないでしょうか?
それは主に、日本経済を引っ張っていた高度経済成長時代の習わしに従って、従業員の能力が低くても、解雇できない法律が原因でした。
この、古い時代に即していない法律のために、IT業界では、人材派遣会社と呼ばれるものが大変増えています。
これは法律の網の目を、くぐる企業のことです。でも、政府が時代に則さない法律を守るよう要求していますので、致し方ない分野です。
一方、人材派遣外車を通して人材を採用すると、その社員が能力が足りないと分かった時に、その人を解雇することが可能です。
もともと雇用ではなく、業務委託契約だからです。
これをするために企業はIT企業は、毎月40万円ほどの費用を人材派遣会社に払います
大体日本の優秀なITエンジニアは月額800,000が相場となっています。
しかし優秀なエンジニアは数が少なく、採用をした後で適性がなかったことが明らかになった場合でも、企業は働くことのできない社員に、毎月25-35万円の給料を払わなくてはいけません。解雇できないからです。
これは、大変リスクが大きいです。ですからIT企業としては、毎月40万円を上乗せして800,000円を、ITの人材派遣会社に払ってでも、人材を採用します。
このように現実に即していない法律が、いつまでを改変されないため、その法律の網の目をくぐる、つまり現実に即した雇用にするための抜けな的な、人材派遣会社が日本にはたくさんあります。
その中でも大きい会社の一つに、あるリクルートと言う会社があります。
この企業は大変優秀な企業です。昔は、パートタイムの情報誌をコンビニエンスストアで販売したり、新規卒業の社員を企業に紹介する仕事をしていました。
しかしリクルートは、IT技術が企業の業績そのものを左右するということに気づき、20年前ほどから自社でプログラマーの新卒を毎年200人から300人採用しています
このためリクルートは今では自社で今まで紙の媒体であった、住宅紹介またアルバイト雑誌、そういったものを全て、ウェブ上のアプリケーションで行う仕組みに切り替えることをして大きな利益を上げるようになりました
日本でもIT技術の重要性に気がついた優秀企業や、資金力のあるところは、自前で新卒社員を雇っています。そしてそれを育てるといったことを行っています
しかしたいていの企業はそうではありません
重要な資金力もなく育てる人材もおらず教育する人もいないところはどんどん遅れていくばかりです
日本の小さな田舎の印刷屋さんが印刷の仕事がなくなり、それがその地域の大きい印刷業者に仕事を取られるのではなく、アメリカにあるGoogleなどに、日本の田舎の、宣伝や広告の仕事がとられていく時代となりました。
グローバル化が進んでいると言うことです
そしてIT技術に負けたものは、世界の経済の中のポジションどんどん価値を失っていくのは、これはもう仕方のないことです
ところが日本の官僚の中で50歳位になると、まだそのことが理解できてない人がほとんどになります
そのため必要な法律の改正が行われず、日本の経済力はこれからどんどん下降していくことでしょう。
そのために何ができるかと考えてみましょう。
その1
国が税金の無駄遣いしてるのは、別の問題であってあなたの会社の問題では無いからです。
しかし自社の業績あげたい、ITの技術を使って、自身の企業を変え、そして多少なりとも世の中に貢献できる企業にしたいと思うのであれば、助成金が取れるような案件には参加しないほうがいいでしょう。
苦しくても、難しくても、自社の社員をゼロから教育する方が長い目で見ると効果的です
経済学者の、ドラッカーも言いました。
物事を選択するときの基準として、
と言っていました。
今日の話はここまでです。
ここまで読んでいただいて、どうもありがとうございました。