ガイアの夜明け「崖っぷち町工場の逆襲」から

Q-ガイアの夜明け、「崖っぷち町工場の逆襲」はなかなかおもしろい番組でした。感想はどうですか?
A-そうですね。確かに新しい風力発電や、下請けの工場が欄間をスキャニングして、アルミの削りだしのオリジナル商品を作った点は、評価できます。
しかし、問題の解決にはなっていません。
Qー問題解決になっていないとは、どういう意味でしょうか?
A-あの富山の旋盤のアルミ工場は、元請けの会社が海外に拠点を移し、6割の売上が減ったため、窮地に追い込まれていました。そして、東京のコンサルティング会社に社長が研修に行きました。
結果として、社員の中から出てきた面白い企画、欄間(昔の日本家屋の天井と梁の間にあった、飾り)をスキャニングして、ツルの欄間をアルミの削りだしで作成しました。
結果として、フランスの会社が興味を持って、営業マンが今度打ち合わせに行くかもしれないといっていました。
Q-それはある程度、成果がでているということではないでしょうか?
A-いいえ、あの番組の合言葉は「下請けからの脱却」でした。大手取引先がなくなって、新たなフランスの企業の下請けになるにすぎません。下請け体質からは何も変わっていません。元請けの会社は、商品化やブランディングのノウハウ、情報を持っています。その一部を切り出して、外注に出すのです。従来の下請けという構図は全く変わっていません。
Q-どうすればよかったのでしょうか?
A-自社のオリジナル製品を消費者まで届ける製品を企画、開発しなくてはいけません。BtoBからBtoCに移行しなくては、解決にはなりません。
Q-例えば、どんな製品があるのでしょうか?
A-あの番組の例であれば、社長は以前服のデザインの学校を卒業して、アパレルのデザインをしていました。
アパレルのデザインの分野も面白いと思いました。またアルミホイールの下請けの業務をしていましたので、独自開発のアルミホイールの開発も考えられたと思います。
Q-しかし、アルミホイールなどは、構造計算やタイヤとの接合部など、クリヤしなくては行けない問題が、たくさんあると思われますが。難しいのではないでしょうか?
A-そうですね。以前は、試作して、強度試験にかけて失敗したら、また作り直しで、多額の費用がかかっていました。しかし、現在ではソリッドワークスなどの3DCADを利用すれば、強度試験や構造計算がCAD上で可能です。以前に比べて格段に敷居が低くなっていると言えるでしょう。
Q-そうですか。しかし仮に製品化できたとしても、販売は難しいのではないでしょうか?工場では小売の経験がありませんよね。
A-確かにその通りです。ですから、他社と同じものを作っては行けません。これは、当社のコンサルティングの核となる点です。
今までにない、面白さや、デザイン、コアなファンを喜ばせる少数の、強力なファンができる商品でないといけません。金額が高くても買ってくれる商品でないと、採算が合わないからです。また大勢の人に大量に売ることも考えてはいけません。大量生産、大量消費の時代は終わりました。それをお教のように信じて実行している大企業は軒並み業績が悪化しています。
Q-既存のホイールの、デザインの良い会社が幾つもあります。そのなかで、ホイールで差別化できますか?
A-できます。例えば、回転の遠心力を利用して、LEDが点灯するホイールなどは面白いかもしれません。
ドレスアップするパーツは出ていますが、ホイールそのものに埋め込んでいるものはまだないですね。
この分野を開発してみるのは一つの手かもしれません。
Q-そのような企画のアイデアをここで述べても良いのですか?
A-これくらいのことは、どこのコンサルタントでも考えつくようなことですので、問題ありません。
Q-遠心力を利用した、光るホイールは、確かに面白い企画ですね。しかし、中小の企業が開発するのは、とても大変ではないでしょうか?
A-そうです。開発時には必ず、問題に直面します。ですから自分たちで考えたアイデアというのがとても大切なのです。これは自分たちが考えたものだ、必ず世に送り出そう。そのような意思が大切なのです。
その点、この番組で、自分たちが考えた欄間を作ったという点は、大変重要な点ですね。
私達は、製品企画の答えを持っていても、それをお客様に伝えてはいけないのです。
Q-なぜですか?そのほうが、早く製品開発できるのでは無いでしょうか?
A-新しい製品を作るというのは、並大抵のことではできません。必ず問題に直面します。その時に、他人から与えられた製品だと、「それみろやはり無理だった」で終わってしまいます。
ですから、私達のコンサルティングは、必ず相手に製品企画を出してもらうようにします。私達が答えを持っていても、相手に気づかせること、これが製品開発コンサルティングで、一番大切な点です。
つまり、ブランド化できる最終製品まで、ヒントを与え続けることです。
私達が、答えを与えることはありません。
そうしないと、最終製品は生まれることは決してないからです。
Q-なるほど、御社のコンサルティングの方法がだんだん見えてきました。
次回はどのようなお話になりますか?
A-次回は、マーケット・インの間違いについてお話します。